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彼女の大好物はケーキとクッキー。
まるで、茶道の厳粛さで
ひとかけ、ひとすくいずつ
たいらげてゆく。
しっとりとしたケーキの場合は、
お皿に散らばったカスまで
フォークの裏に
ぎゅっと器用にひっつけて、
落っこちないうちに
すばやく口に運ぶ。
パラパラしたドライなクッキーの時は、
スプーンとフォークをうまく使って
ひとかけらも残さずたいらげる。
私と二人だけで
午後のお茶してるときは
手を使って無邪気にペロリ。
行儀、悪いっていわれるから、
仲良し以外とお茶するときは
カスは残すようにしてるんだけど、
カスに悪いことしてるみたいで
ここが痛むわ。
とハートに手を当てる。
おおげさなぁ、
とさすがの私も呆れ顔。
石の気持ちはわかっても、
クッキーのカスの声は
私には届かない。
「だって、このクッキーを見て。」
真剣そのもので私のお皿にのっている
まあるいチョコチップを指差す。
「このクッキーに引っ付いているうちは
どのかけらもクッキーで、
いったん、離れてしまうと、
カス、とよばれ、見向きもされない。
まるで、何らかの原因で
社会から離れて
Outcast とよばれる人々への待遇と同じじゃない?
それって、納得できないよ。
大部分と
ちがう考え方、生き方、境遇を選ぶ人々も、
あえなくそういう立場にある人々も
社会のカスではなく、
社会の一部でしょ?
みんなと同じように尊重されて当然じゃないのかなぁ。」
そういって、目の前のケーキに目を落とす彼女の
美しい横顔に
ふっと、青い影がさす。
母親は台湾人。
父親がフランス人。
バランスを崩して今は憎みあう二人が別れる前、
まだ幸せが溢れたころに生まれた宝。
それが彼女だ。
色白で、高い鼻。
優雅な長い首に、切れ長の一重瞼の黒い目。
どんな思いで、自分を肯定し、
二つの文化圏を行き来しているのか‥。
つい先ほどの話など忘れたように
楽しげにチーズケーキをほおばる彼女を見ているうちに
呪文のように聞こえるフレーズ。
クッキーのカケラもクッキー。
クッキーから落っこちてもクッキー。
世界中のいたるところで
カス扱いされている人々や、物達。
社会のルールにひっつかなくてもいいから、
おいしいカスであれ!
彼女に教えてもらったあの教訓を
この石の精霊と供に
あなたに送ります。
Data
Serial #:
0109
Title: Crumb カッス
Size:
Type: Stone Art
Date: 2006 March
Status:
Price:
Yorikoは、100匹の猫プロジェクトに取り組み始めました。
夢で、オレンジのように、石猫が鈴なりになっている木を見たんだ。 それで、お告げがあった。 単純に、
てきぱき100匹の猫を作るようにって。 で、今、それにかかりきりでとても忙しいです。
Yoriko has started to work on the "100 Stone Cats" project.
I saw a tree clustered with hundred stone cats in my
dream. And I heard the voice. The voice told me to promply and simply create 100 stone cats.
So now I'm very busy working on
them.
A Secret of a Child's Smile
初めて買ってもらったクレパス
ピンクと水色だけが
すりへって
汗ばんだ手のひらの中で
小さな塊になるのに
三日とかからなかった。
好きなものを好きと
宣言するのが
ただ嬉しかったあのころ。
好きな色
今もかわっていない。
幼いころのまっすぐな自分が
今もかわらず
大人のわたしのなかにいて
私が気づくまで
澄み切った瞳でこっちを見てる。
私が見つけると
とろけそうな笑顔で
にっこり微笑んだ。
長いこと忘れてたね
ひさしぶり。
できれば
もう忘れないでね。
世界のあるかたすみで
一人の子供が微笑むと
世界中の子供達が
波のように
それに応えて
歓声をあげる。
子供達はいつだって
宝探しをしているから、
目がしずくのようにすきとおっていて
いつも子猫のように聞き耳をたててる。
でも眠るときは本気で旅に出るんだ。
無関心なんて存在しなくて
自分でないものも存在しない
無邪気に世界と自分を愛した
遠いようで近い昔の生き方感じ方
思い出してもう一度
世界と自分をひとつにもどそう。
Data
Serial #: 0117
Title: A Secret of a Child's Smile 子供の笑みの秘密
Size:
Type: Stone Art
Date: 2006 May
Status: Sold
Price:
三月なのに風は青い
手足はもっと青い
Stone Listener
冬眠モード中。
外へは出来るだけ出ない、冒険しない。
川原(石たちの住処)はどこにあるのか知らない
地図見て調べても
石の居場所は書いてないから
意味ない。
石探しにゆく行動力に欠け、
家にこもりがちで
石に飢えてたあのころ
外へ出るのは食料の買出しのときだけ。
どんな石でもよかったんだ、ただ、
話しかけてくれさえすれば
まよわずポケットに土ごと入れて
つれて帰った。
丸くて滑滑の石なんか
町にはめったにいない。
ごつごつして
茶色い泥にまみれた石
踏んだりけったりの毎日すごしてる。
近所の工事現場で
しょんぼりしてるのを
拾ってつれて帰ったら
抱きしめたくなるような
子犬に変身した。
連れて帰ってくれて
ありがとう。
何のとりえもないような自分に
大切ななにかを託してくれて
ありがとう。
あきらかにそう告げるこの子犬は
子供のころの愛犬
クンに似てる。
クンも吠えない犬だった。
ビーズの茶色い目と
やわらかい布の鼻ずらで
私を愛してくれた。
Data
Serial #: 0116
Title: 子犬 Puppy
Size:
Type: Stone Art
Date: 2006 May
Status: On Sale
Price: